事業概要
宇都宮大学では,新たな地域社会の変革を担うべく主体的に挑戦し(Challenge),自らを変え(Change),社会に貢献(Contribution)する人材の養成を目標としています。この3C人材は,社会を構成する数々の事象の本質を見極め,各自の価値観に照らして適正に判断するとともに,自らが持つ知識・能力を最大限に用いて,新たな社会を創造するため自律的に行動する能力を備えることが求められます。そこで,本学の大学教育再生加速プログラム(AP)では,テーマⅠ(アクティブラーニング),テーマⅡ(学修成果の可視化)を通して,獲得した知識の体系を自らの行動につなげ,現実社会で実践していくための態度・志向・感性とリテラシーで構成される能力要素を「行動的知性」として指標化し,その獲得を着実に実行しうる制度設計を行ってきました。
具体的には,入口から出口までの学びの質を保証するべく,第一にアクティブラーニングの深化と拡充,第二にFDの推進による教員集団の一層の教授能力・資質の向上,第三に個々の授業科目を越えた大学教育のカリキュラム・マネジメントの確立,第四に学修到達度可視化システムの開発を進めてきました。
アクティブラーニングの深化と拡充
3C人材の養成を目標とする宇都宮大学では,自ら考え,他者と協同し,新しい社会の在り方を問い,最善の解を見出していく力を備えるためには,アクティブラーニングによる能動的学修の展開が効果的であると考えます。
本学は,実学教育に加え,発展途上国の開発支援や市民団体,NPO等との協働が深く,全学的に実践的な教育に対する志向が強い大学です。また,教育学部の附属学校や地域の学校との連携,工学部の産学官連携,農学部の附属農場・附属演習林や里山地域活動等,それぞれフィールドを持った教育・研究活動が盛んであり,実践を重視した教育を行ってきた伝統を持っています。本事業では,専門教育において各教員が独自に取り組んできた創意工夫をアクティブラーニングとして体系化し,学士課程教育全体を通じての3C人材の養成を実現するための取り組みを進めていきます。
FDの推進による教員集団の一層の教授能力・資質の向上
FDについては,毎年度テーマを設定して実施する全学FDと学部等毎のFDを実施しており,AP事業の実質化に伴い開催回数が増加しており,FDの意義や効果について学内での共通理解が図られています。また,大学教育推進機構基盤教育センターでは,全学の教職員を対象に,特定の教育課題をテーマとした「Udai教育セミナー」を継続的に実施し,教員集団の教授能力・資質の向上が図られています。
これらに加え,優良授業実践例の公開授業や,授業設計マニュアルを含む「宇大版アクティブラーニングティップス集」を活用することで,様々な角度から教授能力・資質向上が図られています。
個々の授業科目を越えた大学教育のカリキュラム・マネジメントの確立と学修到達度可視化システムの開発
宇都宮大学では,これまで3つのポリシー(ディプロマ・ポリシー,カリキュラム・ポリシー,アドミッション・ポリシー)を定め,学部学科ごとに4年間のプログラムを図示した“カリキュラム・ツリー”と,各科目の具体的な到達目標や成績基準を明示した“教科シラバス”,さらにディプロマ・ポリシーがどの教科によってどのように達成されるかを一覧表にした“確認マトリックス”を冊子『宇都宮大学の学士課程教育~学生の皆さんへの約束~』にまとめ,入学時に全学生に配布してきました。
さらに,“確認マトリックス”をもとに,その到達度が可視化される「レーダーチャート」を用いて,学期ごとに個別指導を行ってきました。
本事業ではこれらに加え,本学の教育目標とする「知」と「行動力」を結合した汎用的能力である「行動的知性」の「3C到達度チェックシート」の開発を行ってきました。これは,これまで教員の主観に委ねられてきた,主体的に挑戦し(Challenge),自らを変え(Change),社会に貢献する(Contribution)「3C精神」を軸とする「行動的知性」の獲得を可視化する取組です。